空気がぴりっとした。
冗談でも、からかわれているわけでもないと理解して。
だけど、どうして怒るのかは理解できなくて、おずおず視線を合わせてみる。
「な、毎日って。あの人、そんなこと言ってたの、」
「聞きたくなくても聞こえてくんだよ、同じグループ内にいたら嫌でもな」
「き……」
──聞かれたくなかった、そんな話。
思っても口にはできない。
自業自得だからしょうがない、言い聞かせるとまたすぐに悲しくなって鼻の奥がツンとした。
「毎日じゃないよ、……会うのは週に3、4回だったし、それに、わたしは」
「なに真面目に答えてんだよ、うざ」
聞きたくねえ話つったじゃん、と吐き捨てた秋くん。
わたしを掴む手が、今にでも離れていくんじゃないか。そんな気がして「だめ」と、今度は自分から腕を絡めた。



