黙り込んでいたら、しばらくして腕を引っ張りあげられた。
立て、と。
「……どこ行くの?」
まさか。
今のは冗談じゃなく。
“ガッコー内で(そういう行為にもってこいな)イイ場所“に連れて行こうとしてる?
「まだっ、心の準備がね!」
つま先に力を入れて、ぐっと踏みとどまる。
加減なくわたしの腕を引っ張っていた秋くんは、それでも歩き続けるから
「う…ぐ……脱臼しちゃうかも」
「させてやるよ脱臼」
「もげる、っ、もげます腕」
「てか、なんだよ心の準備って。お前元カレと毎日やることやってただろ」
いつもの、ただ冷たいだけの声に、ちょっと、ほんのちょっとだけ、怒りをはらんだような響きだった。



