すべて秋くんの支配下



ぐす、ぐす、小一時間泣き続けて、陽はすっかり落ちてしまった。


非常階段を冷たい風が吹き抜ける。
涙が伝ったほっぺたに触れて、ひりひりした。


帰らなきゃ、いいかげん。

そう思うのに階段から立ち上がれない。




「うららちゃん」


ぐす、と再び肩を震わせたときだった。


秋くんのことばっかり思い出してたから、ついに幻聴をきくようになったのかと思った。



「うららちゃん風邪ひくだろ、さっさと帰るよ」

「っ、うぇ?……」



嗚咽とともに顔を上げて、ヘンな声がでる。



「帰りたくねーの? だったら俺もここにいてやろうか」



ふわっと秋くんの匂い。
わたしの隣に影が落ちる。

同じ段に腰をおろした秋くんが、じっとのぞきこむ。