「だって、疲れてるだろ」
「え……?」
ずっとジタバタとしていたけれど、聞こえたことばにぴたりととまる。
「さっきも言ったけど、顔、すごい疲れてる。今もほんとは、眠いんじゃないの」
そう言って片手は私を持ち上げたまま。
少し骨張った、けれど優しい指が下まぶたをゆっくりなぞる。
「っ……」
「なんでって顔してる。
病み上がりで混合クラスってなって。疲れるなんて当たり前だろ。そういうときは無理せず甘えること」
『まあ本音は、いつもツンツンしてるから、たまには甘えてほしいから、だけど』
「それに、ただでさえ一人で抱え込むタイプなんだし。たのむから、心配させんな」
はー……っと息をはいて、きゅっと目を細めた遥。
「ご、ごめん……」
「ん。わかったならいい」
だってあまりに心配だとその瞳が訴えてくるから。
ゆらゆらと揺れる瞳が切なげで。
さすがに素直に謝るしかできない。



