「ご、5回も!?」
「うん。
だめ?」
「っ〜、だ、だめじゃない、けど……っ」
「じゃあ、なにがだめ?
はずかしさなら、もっとよんだらなくなるよ」
「っ〜!!」
遥にはすべてがお見通し。
心の声が聞こえる私の方が、どうにかなっちゃいそうで。
「遥」
「うん」
「遥」
「うん」
「遥……遥、はる、か……っ」
「ん。最高」
そう言って頭をなでてくれたあと、体を離した遥は。
『はぁ……名前よばれるだけで、すっげえうれしい。めちゃくちゃ嬉しい。しあわせ』
弾む声に、ぶわっと顔がまた熱をもつ。
お、大げさだよ……。
いまだ片手はつないだまま、これ以上にないくらい目をとけさせて見つめてくる遥に、はずかしいを超えて、胸がきゅんと音をたてる。
「これからもだよ、胡桃。
もっともっと、俺しかよんでないってくらい、よんで。他の男の名前はぜったいだめ」
『俺しか見ないで、俺だけにして』
「っ、でも、杏とかは……」
「……ほんとは、いやだけど。
めちゃくちゃ嫌だけど、特別にゆるす。
けど、あとはだめ。ぜったい」



