むり、とまんない。

***


「桃華、すぐに帰れそうって?」


「うん。
けど、もうちょいかかりそうだから、胡桃のこと看といてだって」


だれ……?

すぐそばで聞こえる2つの声に、ぼんやりしていた頭がはっきりしていく。


「遥、この後なんもないよね?」


「ない。
今日一日オフだし」


「じゃあ、桃華が帰ってくるまで胡桃のこと頼んでいい?俺、この後取材入ってて。さすがに一人にさせるのは心配」


「なんかその言い方……」


「彼女のことを頼むみたいに聞こえるって?
独占欲強いなぁ」


「知ってる」


この声……杏と、遥……?

なんでふたりが……。


というか、ここどこ……?

遥が目の前にいる手前、目を開けるのがはばかれた私は。


「んんっ……」


なにやってるんだろう、自分。

いくら遥がいるからって、情けなさすぎる……。


寝返りを打って、声が聞こえるのとは反対の方向を向いてそっと目を開ける。


自分の部屋だ。

そういや私、学校で倒れて……。