むり、とまんない。

***


「くーるーみ!
胡桃ってば!」


「んん……っ」


「もう、こんなとこで寝てたの?
風邪ひくよ!」


「んん……おは、よ」


「おはよ。テレビもつけっぱなしだし、帰ってきてびっくりしたよ!」


叫ぶような声にゆっくり目を開ければ、桃華が「起きた?」と私を見ていた。


「今、帰ってきたの……?」


「そう!もう、めっちゃ疲れたぁ〜!
撮影長引いちゃって、結局近くのホテルに泊まることにしたの。ごめんね、ご飯作ってくれてたのに」


「いや、それはぜんぜんいいんだけど……」


モデルのお仕事大変なんだな……。

深夜までなんて、私だったらぜったい眠くなっちゃうし。

現に髪、乾かさないまま寝ちゃったし。


「てか、胡桃。
そんなにゆっくりしてていいの?」


「え?」


窓から差し込む太陽の光に目を細めていたら、桃華が首を傾げた。


「もう、7時半だけど」

「えっ……はぁっ!?」