むり、とまんない。



そのあとも遥はずっと笑ってた。


懐かしいな……。


さすがに中学にはつけてってなかったけど、私と遊ぶときはいつもつけてくれてたっけ。

でも、今は。


最悪、無理。

その心の声を何回も聞いたのに。

どうして私があげたのを使ってるの……?


「ありがとうございました〜!」


いろいろぐるぐる考えてたら、いつの間にかパフォーマンスが終わってしまった。


「きゃー!遥くーん!
こっち向いて〜!」


どうやらお客さんもいる番組みたいだけど、その9割は女の子で。


「ありがとうございました」


けど遥は一言言っただけで、応えることはなくて。


声をかけてって言ったことも。

香水のことも。


なにより嫌いな私に話しかけてきたことも。


「はぁ……」


心の声は聞こえるのに、遥の気持ちが分かんないよ……。

それから違うグループの曲が始まっても尚、私はずっと昼間のことを考えていた。