むり、とまんない。



ふわりと抱き上げられて、遥はそのままゆっくり歩くと、屋上の少し高くなった段差に腰かけた。


「遥も……」


「ん?」


「王子様みたい。
この世で一番、誰よりもかっこいいよ」


「っ!!」


ぎゅっと首に手を回して抱きつくと、はるかははぁ……っと息をはいた。


「昼もこのドレスで接客してたの?」


「まさか!
昼は黒の、もっと短い……っ、あ」


「へえ、短いの。
あとで家で着て見せて」


「ええっ!?」


「だって、いろんなやつが見てて俺だけ見てないとか不公平すぎる。胡桃のぜんぶが俺のなのに」


「遥……っ」


どこか拗ねた遥の声に胸がキュンとなって、まだ抱きついた。


「胡桃」


そしたら遥も声を甘く滲ませて、


もうだれの目にも触れさせたくない。


そう言ってるみたいに、強く強く私を抱きすくめる。


「おめでとう、遥。
一票差だったけど」


「あー……あれな。
ほんと、ずるいよな。
俺に敵わないとか言ってたけど、俺からしてみればスマートにあんなことするおまえに敵わないっての」


「ふふ、お互いさまだね」


「そうだな」


そっと体を放して、コツンとおでこを合わせて見つめ合う。