むり、とまんない。



夕焼けを表現しているかのような、ほんのりオレンジ色の照明がステージを包む。

静かなピアノの伴奏が流れて、落ちついた甘利くんの声がマイクに入る。


「目を閉じると 優しく笑う君が

いつもそこにいた」


「笑って 泣いていいんだよ

苦しまなくていいんだよ」


「他人(ひと)の目なんてどうだっていい

いつも僕は

君に 君の優しさに 救われていたんだ」


不知火くんのあたたかい声。

八朔くんの元気をもらえそうな、少し高めの声。


「まぶしい太陽 雲のない青空

見上げる度に 君を

君と会えるいつの日かを」



「ずっと待っていたんだ」



会場のあちこちから、すすり泣く声が聞こえてくる。

マイクを両手で持ちながら、時々空を見上げながら歌う3人。


最後のラストのサビは甘利くんが一人で。

心が震えるくらいの、感情のこもった声が会場全体を包み込む。


「君がいたから 僕は

今の自分でいられるんだ」


「っ……」


最後の歌詞を歌う瞬間。


一瞬だけど、甘利くんは私を見ていた気がした。



「ありがとうございました」



3人が去ったあとも、会場には大きな拍手がずっと響き渡っていた。