司会の男の人が興奮したように、トークを回す。
「それでは、先攻!今女子中高生の間で人気沸騰中のcrown!皆さん、大きな拍手をお願いします!!」
「きゃあああ!!
不知火くーん!」
「小春!
こっち見てー!」
「甘利くーん!」
3人がステージに立ったとたん、会場全体に響き渡るほどの歓声があがる。
不知火くんと八朔くんは笑顔で手を振っているけれど、甘利くんだけは相変わらずの無表情。
それは女嫌いだからとか、そういうのじゃなくて。
きっと、緊張しているから。
「珍しい……」
「え?」
「いつもなら、もっとタキシードとかそういうの着てるのに……」
あーちゃんの言葉に、ふと3人の服装を見てみる。
たしかに、言われてみればそうかもしれない。
今日は3人とも白のジャケットに黒のスボン、そしてレースアップシューズ。
ジャケットには縦にラメが入ってるのか、動くたびにストライプにきらめく。
「今日俺たちはこの日のために、はじめてのバラード曲を作りました」
バラード曲。
それに周囲にどよめきが走る。
「crownは今までポップで激しいダンスの曲しか出してこなかったから、バラードはほんとにはじめてだよ」
隣であーちゃんが説明してくれる。
「では、聞いてください。
……『僕が僕でいられること』」



