ポンポンと肩を叩かれてふり向けば、他校の生徒なのか、見たことない制服を着ている。

ジャラジャラとつけたネックレスに、きつい香水の香り。


この人、苦手だ……。

見ただけで、早く離れなきゃと頭が言ってる。


「君、めちゃくちゃかわいいね!
芸能科の子?連絡先教えて?」


「ひっ、」


やばい、遥との約束、マスクつけるの忘れてた。


さっきはあーちゃんが隣にいてくれたおかげでなんとかナンパ避け対策(?)は効果的だったけど、今は……。


あーちゃんはいないし、マスクもない。


「ねえねえ聞いてる?
なんなら、今からでもどこか遊びに……」


そう言って私の腰に手を回そうとするその人。


「っ、だっ、だれか……!」


そう叫ぼうとしたとき。


「胡桃」