***


「ふぅ、売った売った」

「盛況だったね」


時刻は12時。


まだ午前中だというのに、たくさんの人が来てくれたおかげで、用意していた在庫はもうほとんどなくなってしまった。


「胡桃、このあとは遥くんのところ、行くの?」


「あ、うん。
でもその前に……」


甘利くんと、少し話がしたい。


遥から甘利くんの話を聞いて、少しだけでも話がしたかった。


さっきの着替えのときも姿が見えなかったし、シフトで同じだったけれど、話す機会は一回もなくて。


来るお客さんはどの人もみんな甘利くんや、不知火くん、miwaちゃん目当てで。

3人は特に忙しそうだった。



「じゃあ私、着替えるね」


「えっ、着替えちゃうの!?」


「だってこの格好、落ちつかなくて……」


ただでさえ、キラキラのラメもいっぱい入ってるドレスだから、とにかく目立つ。