「え?また?」
「そう!
一般客が見に来るのはステージだけだけど、胡桃をナンパするやつは大方100人はいるだろうからって遥くんが」
「100人……?」
「そう!
不知火くんとかに頼むのはぜったい嫌だからって、あたしに頼んできたの!この間はちゃんと守れなかったから、今日は真面目に!」
なんて、ウイッグと、タキシードを取り出したあーちゃん。
ま、まさか……。
「今から男装しまーすっ!」
「男装!?
それなら最初から、私が男装したほうがよかったんじゃ……」
「なーにいってるの!
元々あたし、趣味が男装なの!
いつか文化祭でしてみたいと思ってたからむしろありがとうって感じ!」
「そ、そうなんだ?」
「コスプレイヤーって言うの?あたしあれで、女の子たちブイブイ言わせてるから!」
なんてメイクをしながら目の前に突きつけられたスマホには、あーちゃんによく似た男の子。
え、この人……。
「それ、あたしね!
かっこいいでしょ!」
「めちゃくちゃかっこいい……」
「でしょでしょ!?」
いつものゆるふわな髪型は愚か、キリリとしたイケメンがそこにいた。
それからささっと男装を済ませたあーちゃんは、私の隣に立つ。
「これでナンパ避け対策はバッチリ!
午後のステージのこともあるけど、バリバリ働こうね、胡桃!」
「はーい……」
対決のステージは13時から。
投票は15時までで、それから結果発表。
「ではこれから王煌学園文化祭をはじめます」
その放送に、みんながワッと持ち場につく。
いよいよ本番。
私もがんばらなきゃ。



