むり、とまんない。



「………」

「………」


けれど遥は動かない。


な、なんでまだいるの。

どっか行ってよ……。


こっちは真後ろにいるってことに、まだ頭が追いついてなくて動けないのに。


さっきから香る匂いに鼓動が早くなって、なんで、どうしてって言葉だけが頭の中をかけめぐる。


『……いつも』


!?


『いつも一人で来てんの?』


心の声だ……。

普通に話してる声は耳から聞こえる。

でも、心の声は脳内に直接話しかけられてるみたいな感じだから、ちょっとちがう。


て、てかなんで急にそんなこと……。


「買い物」


「へっ?」