「いいよ、なにも言わなくて」
でも、なにか……。
そう思ったけれど、どこか自嘲気味に笑う姿に、うまく声が出てこない。
「けど、俺のこともちゃんと見ててほしい」
「えっ……」
瞬間。
「あ、甘利く……」
「なに?」
するりと手をとられてびくりとすれば、硬い表情を崩して、ふっと笑う。
あ、この顔……。
笑ったときにできるえくぼと、きれいな三日月型の目。
あの保育園のときの男の子は、やっぱり……。
甘利くん……?
そう思った瞬間。
「きゃっ!」
ぐいっと肩をひかれて、甘利くんとつないだ手が離れる。
代わりに。
「っ……!」
ポスンと収まる私の体。
ふわっと鼻をくすぐる、だいすきなその香りは。



