むり、とまんない。



てか私、そんなにまじまじと見てたんだ……。

周りに人がいるのに、気づいたらかぼちゃとにらめっこしてしまってたらしい。


「す、すいません……すぐどきますので」


確かに制服姿の女子高生が1人でかぼちゃを見つめる絵はシュールすぎる。


「あ、ううん、ぜんぜん。
なんか、家庭的でいいなって思って。めちゃくちゃかわいいし」


その制服、王煌だよね?
もしかして、モデルさんかなにか?


は?

モデル?かわいい?


だれが?


「もちろん君が」


声、出てたよ。


「っ!」


なんてクスクス笑うもんだから、一気に顔が熱くなる。


「ねえ、名前教えてよ。
俺はね……」


あまりにはずかしくて、とにかく早くこの場から去りたいと振り向いたら。


「す、すいませ……」


トンっと肩が目の前にいた人物にあたって、ふっと顔をあげる。


「っ!」


ドクンと心臓が音を立てて、足が固まる。


つやつやの黒髪。

前髪からのぞく夜を思わせるような鋭い目つきと。
冷涼を醸し出したような雰囲気。


なん、で……。


『……なに、こいつ』


そこにはこれ以上にないくらい冷ややかな目でその男子を見つめる遥がいた。