「あの頃から俺、胡桃のこと好きだったんだけど」


「っ、なに、急に」


「あれ、照れてる?
かわいい」


「遊ばないで!
で、なに?」


「あいつは……」


「え?」


「俺、胡桃に近づく男がいたら牽制してたって言ってたけど、甘利だけはちがった」


「ちがう?」


「あー……もう、」


「わっ!?」


すると髪をぐしゃっとして、勢いよく私に抱きついてきた。


「ど、どうしたの?」


「んー」


なんだか遥の声、いつもより自信なさげに聞こえるの気のせい……?


「胡桃」


「うん?」


「俺のこと、すき?」


「ど、どうしたの急に」


「いいから」


「す、すきだよ?
遥のこと」


「俺も。
胡桃がすき。めちゃくちゃすき」


『やっとやっと手に入ったのに、横からかっさわられるとか冗談じゃない』

「遥……?」


いつもより静かな遥。

私の髪に顔をうずめたまま、なにも言わない。


こんな遥、珍しい……。

なにか不安なことでもあるの……?


そう思っていたら。