「ああ、人と待ち合わせしてて。
仕事関係の人。けど少し遅れるって連絡きて、あそこで待ってた」
「そうだったんだ……」
でもさすが甘利くん。
めちゃくちゃ馴染んでるみたいだったけど、ふつうにオーラ隠せてなかったし、やっぱり芸能人ってすごいんだなぁ……。
「けどまあ、助かった」
「え……?」
「その、周りが騒ぎそうだったから、声かけてくれたんだろ」
ふいっと顔を背けていた甘利くんだったけど、今度はちゃんと、私の目を見て言ってくれた。
まあ、女嫌いって聞いたし、ただでさえ学校でも騒がれるの嫌がってたし、尚更だよね。
でも、もったいないなぁ……。
「なにが」
「だって、crownのメンバーって、不知火くんとかみたいに、みるからにアイドル!って感じの人が多いから……」
って、ん?
「なに……っ、!」
あれ、今……。
私、もったいないって声に出したっけ……?
それに、さっきの雑誌の話だって。
まさか……。
「まさか、甘利くん……」
「………」
あからさまに顔をそらして、私と目線を合わせない。
なんとなく、昨日話していたときから感じていた違和感。
なんとなく感じていた、自分と同じ匂い。
「自分と同じって……」
甘利くん、隠す気ある?
「うん。
心の声、聞こえるんでしょう……?」



