「いじわる……っ」
「知ってる。
ねえ、自分がどんな顔してるかわかってる?」
「そんなの……っ」
「わかんない?
なら、教えてあげる」
「っ、ちか……っ、」
「俺にキスされたくて、たまんないって顔してる」
「っ……!!」
「な、どうしてほしい?」
口角をあげて、私の答えを待つ遥。
けれど。
いじわるな瞳のその奥が、熱に浮かされて燃えてるのを私は知ってる。
『はやく、キスしたい。
はやく、胡桃のかわいい声いっぱい聞きたい』
『けど、胡桃から俺のって、ちゃんと聞きたい』
せめぎ合う心の葛藤が、聞こえてくる。
そうまでして私に言ってほしいんだ。
どんなにキレイでかわいい女の子に囲まれたって、表情を崩さず、冷淡な態度の遥が。
テレビでも、現場でもクールなままの遥が。
「胡桃も言って」
目をとけさせて。
─────性急に、愛を求めてくる。



