むり、とまんない。



「はい、完成」

「あ、ありがと……」


カチッとドライヤーのとまる音がして、さらりと髪をなでられる。


「髪、サラサラ」

「べ、べつに普通だよ」


というか、自分でやってもここまでキレイにならない。


髪乾かすのまで上手とか、どれだけハイスペックなの、遥。


「ここ」


「ひゃっ、!」


「ドライヤーしてたせいか、赤くなってる。
痛くない?」


「っ、いたく、ない……っ」


髪を持ち上げられて、ゆっくりなぞられる。


また、焦らすようなさわり方。

耳から首にかけて、指でつつーとなぞって。


「っ、やっ……」

「はぁ……声、やば」
『たまんない』


ふっと耳にも息をふきかけられたら、またぴくりと跳ねてしまう。


「しるし、つけていい?」

「っ、しるし、って……」


さわさわと耳たぶをなぞる指がくすぐったくて身をよじるけれど、お腹の前に回った腕が放してくれない。


「昨日の夜、つけれなかったから。
それにさ……」


「っ、きゃっ!?
ちょっ、はる……っ」


「ここも。
あれは撮影だってわかってたけど、あんなに短いスカート、あの場にいた男全員、胡桃のこと見てた」


「っ、みてな……っ、」


布団に押し倒されたせいで乱れた浴衣のすきまから、そっと太ももの外側をなぞられた。