むり、とまんない。



ザバッとお湯から上がって、変に焦る気持ちを抑えて、浴衣に着替える。


どうしよう、どうしよう……!?


ほんと、どうしたらいいの……っ!?


グルグル回る頭とは裏腹に、気づけば着替えは終わっていて。


顔、あっつい……。

鏡を見れば、あげた髪からのぞくうなじも、顔に負けないくらい赤い。


これじゃ、変に意識してるってバレちゃうよ……。


荷物をもって、顔にパタパタ風を送りながら暖簾をくぐると。


「胡桃」


「っ!!」


「遅かったけど、大丈夫か?」



め、目に毒すぎる……。

なにそのかっこいいの……!!


今日は平日だし、時間も時間だからほとんど人がいないとはいえ、一応マスクをつけてる遥。


けど、濡れた髪とか、浴衣からのぞくキレイな鎖骨とか。

ふわっと鼻をくすぐるシャンプーの香りとか。


い、色気が大渋滞……!!


心臓はバックンバックンだし、くらっとめまいもするほど。


「手、つなぐ?」

「えっ!」


「さっきつなぎたそうにしてたから」

「き、気づいてたの!?」


「うん。
けど、いろいろ我慢してる最中だったし、ちょっとふれただけでも襲いそうだったから」


『けど、今からはいっぱいさわるよ』


「っ!!」


流し目で笑った瞳は、ずくりと体の奥が疼くくらいとけて、熱っぽい。


「あー……部屋まで待ち遠しい」
『今すぐ押し倒してぇ』


プラス、するりと絡められた指が手の甲をスリスリとなでてくるから。

く、くすぐったい……っ。