「胡桃にすきって言われて、バカみたいに余裕なかった」
「よ、ゆう……?」
「うん。
言われてから、夢じゃないって実感したくて、ずっと胡桃にふれたかったけど、なにするかわかったもんじゃなくて」
『ほんとはずっと、早く胡桃とふたりになりたくて仕方なかった』
「で、でも、遥、心の声聞こえないし、私にふれてこなかったから、てっきり、私……」
ぎゅうっと抱きしめられた腕の中、じわりと目に涙が浮かぶ。
遥にふれてもらえないことが、少し距離ができたことが、こんなに自分を苦しめるなんて。
「だからさっき、抱きついてきたんだ?」
「ん……」
「っ、かわいすぎ」
そっと体を放してのぞきこんできた瞳が、喜びとこれ以上にない愛しさで、ゆらゆら揺れていた。
「ずっとずっと、俺を好きになってほしかった」
「うん」
「胡桃と離れて、やっとまた話せて付き合えて、でもそれだけじゃ物足りなくなった」
「うん」
「胡桃の気持ち、まるごとぜんぶがほしくてしょうがなくて」
「う、ん……」
今にも泣きそうに細められた目が、しだいにとけそうなほど優しい色を浮かべる。
「すきだよ。世界で一番すき。
今もこれからも、何十年先もずっと、俺は胡桃しかすきにならない」
「う、ん……っ」
「胡桃は?
俺のこと、どう思ってる?」



