むり、とまんない。



ドキドキするけど、お仕事終わりで疲れてるだろうし、少しでも喜んでくれるならうれしい。


そう思って玄関へとつづく廊下を歩いて、角を曲がろうとしたとき。


ドンッ!!


「っ!!」


スマホを見ながら歩いていたせいで、曲がってきた人がいることに気づかなかった。


「っ、あっ、ごめんなさ……」


「ごめん」



尻もちをついた私の頭上から聞こえたアルト。

あれ、この声……。


「っ……、ごめん。ちゃんと前見てなくて。
けが、しなかった?」


「えっ……」


そこには眉を下げて、心配と言わんばかりに私を見てくる甘利くん。


しかも、尻もちをついた私を立たせようとしてくれているのか、手を差し出している。


え?この人、本当に甘利くん?

女嫌いじゃなかったの?


教室じゃ、普通科、芸能科関係なしに、女の子には話しかけるなオーラ出してるのに。


今は冷たいどころか、あたたかさえ感じるほどの目をしている。


近くで見ると、中性的な顔立ち……。


けど、なんだろう……?


女の子たちはみんなかわいい、女子っぽいって騒いでたけど、私はそうは思わないかも。


身長は高いし、パーマのかけられた髪は目にかかっていて、すごく大人っぽいし。


女の子どころか、さすがcrownのメンバーの1人っていうか、すごくカッコイイと思って……。


「っ……」


「あ、甘利くん?」