「……俺の好きなもの、覚えててくれたの?」
「……うん」
そっと体を放されて、すぐに飛び込んできたのは驚きで見開かれた目。
だって、そんなに喜んでもらえるならって。
またがんばって作ってあげたくなる。
「っ、なにどうしたの?
さっきまであんなにツンツンしてたのに、めちゃくちゃ素直じゃん」
『胡桃すき。すげえすき』
遥の目が珍しく動揺してるように見えて、ちょっぴり嬉しくなる。
これは無意識の声だ。
遥の心の声は無意識のときと、わざと言ってるときの違いがわかりやすい。
遥が話してるときにつぶやかれてるのは無意識の声。
声と心の声がいっしょに聞こえるときとか、授業中みたいに、話してないときのやつはだいたいわさど。
「お仕事、大変なのわかってるから、少しでもがんばれるようにって」
はずかしさ極まりなかったけれど、なんとかじっと目を見て伝える。
遥はいつもまっすぐ気持ちを伝えてくれるから、私も同じ気持ちだよって伝えたくて。
だいぶ自信がついた今なら言える気がした。
「っ、胡桃……」
「っ、あ、き、キスはだめ……ごはん食べたばっかだし」
私の言葉のあとで、きゅうっと甘く細められた目が、すぐにドアップに。
で、でもカレー食べたあとだから……!
慌てて遥の口に手を当てれば、不機嫌な表情のまま、そこに口づけされて、ビクッとする。



