むり、とまんない。

***


「じゃあ、次、不知火。読んでくれるか」

「はい」


それから昼休みも終わって、授業中。

今は私もだいすきな古典の時間。


いつもなら先生の話にしっかり耳を傾けて集中しているのに。


今は……。


『あー……早く帰っていっぱいイチャイチャしたい』


隣の席の人の声に、集中力、かんっぜんに削ぎれちゃってます……。


『真剣にノートとってるの、かわいい。寝てるやつとかいっぱいいんのに、一生懸命話聞こうとするのもかわいい』


『でも一番は、やっぱり……』


やっぱり、なに?

できる限り、めいっぱい髪で顔を覆い隠す。


だって、隣でずっとかわいいかわいいなんて言われたら、顔熱くなっちゃうから。



心の声が聞こえるにあたって一番つらいのは、耳を塞ぐだけじゃ意味がないってこと。


だから遥から距離をとることしか手立てはないんだけど……。


一番窓側の私はこれ以上席を動かすことはできないし、なにより……。


『俺に心の声でかわいいって言われて、照れて席をはならかせようとしたり、髪で顔を隠そうとすんのが一番かわいい』


あのクールな遥の声が弾んでる。


そう思ったらまたドキドキして、それ以上なにもできない自分に、叫びたくなる。