むり、とまんない。



「今日も朝、いっしょに来てたじゃん」


「……」


ほんとうは、いや、だったんだけど。

いくら付き合ったとはいえ、芸能人、ましてや今女子高生に大人気の遥とふたり並んで歩くのは目立ちすぎて。

いくらマスクをしているとはいえ、遥のファンの子はいっぱいいる。


歩くたびにいろんな子が私たちを見ていて、めちゃくちゃいたたまれなかったのに。


『ずっとまた胡桃と登下校したいって思ってたから、まじで幸せ。しかも今日からいっしょに住むとか、こんなに幸せでいいのかな、俺』


なのに遥はこれでもかと目元をゆるませて、私の手をつなぐから。

そんなに嬉しそうにされたら、解くに解けないよ……。


そんな遥にいちいち胸が騒いで、キュンとするから。

プラス、自信をつけるためのリハビリってことを忘れてしまう。


「でもさ、胡桃も遥くんのこと、好きなんでしょ?」


「うん……」


遥とまた昔みたいに戻って数日。

付き合い出したのは昨日からだけど、

遥といっしょにいることに、とてつもない幸せを感じたり、ちょっぴり胸がくすぐったかったり。


でもそれもまた、遥への気持ちが膨らんでる証拠だと思うから。


「あたしはぜったいに、ふたりはうまくいくって思ってたよ。あとは胡桃自身の問題。応援してるから」


「あーちゃん……」


青空の下、少し真剣な顔をしたあーちゃんに、私も強くうなずいた。


ささっ!早くごはん食べないと授業始まっちゃうよ!

少し頬を赤く染めて、そのふわふわの髪を揺らしたあーちゃん。


「ありがとう、あーちゃん」

「っ、当たり前でしょ!」


胸がぽかぽかとあたたかくなる中でお礼を言えば、あーちゃんはちょっぴり照れくさそうに。


でもとびきり優しい笑顔で、たくさんのエールをくれた。