「え……」
「もう杏も帰ってくると思うし、鍵のことは気にしなくていいから」
「は、はる……」
そのまま静かに閉まるドア。
なんで……。
なんでなんでなんで。
心の声が聞こえるようになった理由は分からないけど……。
「はる、か、ずっと私のこと、きらい……だったの……?」
ベッドのシーツを握りしめた手の甲の上にポタポタと雫が落ちていく。
遥は女の子に冷たい。
容姿だけで寄ってくるやつばかりでウンザリだっていつも言ってて。
でも、桃華と私とだけは普通に話してくれた。
小さい頃からの幼なじみ。
それも。
仲良いと思ってたのは私だけ……?
ふたりでいるのもいやってことは、4人でいる時も……?
いつ。
いつから。
遥は私を、嫌ってたの……?



