むり、とまんない。


トクントクンと聞こえる遥の心音と。

全身を包むオレンジの香りに、めまいがしそうになって。


「は、はるか……っ」


そっと遥のシャツを握ったら、それに応えるように、抱きしめられた腕の力もまた強くなる。


『すきだよ』

『小さい頃からずっと、胡桃が好き』
「聞こえる?俺の心の声」


遥の声、優しい……。

今まで聞いたどんな声よりも、私を落ちつかせるような優しい声に、心がじんわりとあたたかくなる。

けれど。


「杏から聞いた。心の声のこと」

「っ……、あ、ご、ごめんなさい……」


「なんで、謝んの?」



告げられたそれに、一気に胸が苦しくなる。

だって、嫌われるにきまってるから。


そう思うのに。

そっと体を放した遥は、ズキンズキンと音を立てる胸の痛みにこらえる私を、これでもかとやわらかく、目尻を下げて見つめる。


っ、なんで……っ。


「そんな顔、するの……っ」

「そんな顔って?」


声が震えて、視界もぼやける私をどんなスイーツよりも甘いまなざしで見つめるから。

もしかしたら、離れなくていいかも、なんて。

期待しちゃうんだよ……っ。


「教えて?胡桃」


そっと目尻にキスを降らせて、

頬に手をすべらせる。


「っ、そんな……っ、だ、大好きで、仕方ないって顔で……っ、」


「うん」


「でも私は……っ、ずっと、遥をだましてた……っ」


涙がこぼれて、顔もぐしゃぐしゃで。

自分でもなにをいってるのかわかんないのに。


「ゆっくりで大丈夫だよ」とあやすように、そっと後頭部をなでてくれる。