むり、とまんない。



「行こう」

「えっ、ちょっ、はる……」


瞬間。


「きゃあああ!!」

「遥くーーーんんん!!」


「う、うらやましすぎるーー!!」

「王子様みたいっ!!」


ふわっと私をお姫さまだっこした遥は、駆け寄ってきたままぽかんとしてる先生に向かって。


「先生。
心配なんで、橘さん、保健室連れていきます」

「お、おおう……」


なんとか正気を取り戻した先生の横をスタスタと通り過ぎた遥は、そのまま体育館を出ていく。


っ、な、なにこの急展開!?


ど、どうしよう!?

まだ遥になんて言うか決めてないよ!!


そう思って必死にあーちゃんを見れば、


「よし!作戦成功!!」


なんて言って親指をグーにして突き出していて。


「い、妹ちゃん……」

「あきらめな」


隣でなぜか落ち込んでいる八朔くんを一刀両断している。


「あ、あの、はる……っ」


慌てて、私は大丈夫だよ、と言おうとしたけれど。


「保健室、行くから」

「っ……」


有無を言わさない声と瞳に、それ以上なにも言えなくて。


『………』


遥の心の声は、またなにも聞こえなかった。