むり、とまんない。



「へぇ、bondのふたりと幼なじみって聞いてたし、高嶺の花って感じなのに、男慣れしてない感じ?そこもまたイイね」


「っ……!」


なんて言って、にっこり笑ってまた顔を近づけようとしてくるから。


「あ、あの……っ」

「ん?なに?」


は、離れてください。

そう伝えて、なんとか後ろへ下がろうとしたとき。


「危ないっ……!!」


えっ……?


隣の男子コートから聞こえた声に、思わずそっちを向いたら、目の前にスローモーションでボールが迫っていて。


「胡桃!!」


ぶつかる……!!


あーちゃんの声に、痛みを覚悟に目を閉じたとき。


バンッ!!


ふわっと体を包む香りのあとで、ボールが何かにあたって床に弾む音があたりに響いた。


この、香りは……。


「は、遥……」


そっと目を開ければ目の前に。

息を荒げて汗を流しながら。

私の背中に片手を回してグッと抱き寄せ、手をかかげる遥がいた。


とたんに。


「きゃあああ!!」

「かっ、かっこよすぎる!!」


シーンと静まっていた体育館が、耳をつんざくほどの黄色い悲鳴で包まれる。


「胡桃っ!!
大丈夫!?」

「遥わるい!!」

「弓削、大丈夫か!?」


あーちゃんの驚く声と、他の男子や先生が駆け寄ってくる声がする。


「えっ、え、遥くん!?
妹ちゃん、けがは……」


ぽかんと遥を見ていた八朔くんだったけど、ハッとして私に手を伸ばそうとして。


「さわんな」


パシッとその手を遥に払われた。