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「あのね、胡桃?ちゃんと考えなって言ったのはあたしだけどさ」


「ごめんなさい」


「競技中にしてもいいとは言ってないよ!?」


「すみません……」


今は本日最後の授業である、体育の時間。


芸能科の生徒が混じってのはじめての体育ってことで、前半は練習で、後半はずっとゲームをしている。


ちなみに女子はバレー。

男子はバスケだ。


「甘利くん!
頑張って!」


「不知火くーーん!!
こっち向いてえええぇぇぇーーー!!」


だって、女子が試合をしてる隣のコートで、こんな歓声が飛び交ってるんだよ。


気にならないってほうが無理な話だよ……。


「きゃあああ!!
遥くーーーん!!」


「ジャージ姿カッコよすぎ!!」


いつの間にか戻ってきたらしい遥も試合に参加してる、らしい。

らしいというのは、私が遥のほうを一切見ていないから。


強く意気込んだものの、なんて伝えたらいいのか。

どんな目で遥を見たらいいのか。


また、だ。


さっきから視線をビシバシ感じる。

思いつくのは一人しかいないけれど、どんな目でどんな表情で私を見ているのかが怖くて、そっちをふりむけない。