「っ!!」


もしかして今、わざと……!


「胡桃。
もしかしておまえ……」


言わないで。言わないで!!

聞きたくない。聞きたくない!!


でも、遥はとまってくれない。


『俺の心の声、聞こえんの?』


そのことばが聞こえた瞬間。

頭から氷水をかけられたみたいに動けなくなった。


ずっとずっと隠していた秘密だったのに。

心の奥底に閉じこめていた秘密だったのに。


遥に嫌われてるから。


最初はその理由から遥と距離をおいて、それからもほとんど関わることはなかったのに。


遥のほんとうの心の声を知って。

嫌われてない、むしろ私と元の関係に戻りたいって思っててくれてて。

私と同じ気持ちだったんだって、遥もそう思ってくれてたんだって。


嬉しくて。

泣きそうなくらい、嬉しくて。


そんな遥が、まさか私のことを。

好きで、いてくれたなんて。


驚いた。

ほんとうに驚いた。

でも、それよりも。


たくさんの女の子に囲まれて。

bondの一人として、芸能人として可愛くてキレイな子ばかりを見ているはずの遥が。

ただの幼なじみで、なんの取り柄もない一般人の私を好きでいてくれたことに。


うれしい以外の気持ちはなくて。