私の目に映ったのは、人懐っこいそれとは少し違う笑顔だった。
優しいのに、少し悲しそう。
レイだけど、レイじゃないような、私の知らない表情。
「えっ、いや、えっ?」
「俺はさアヤちゃんに、保護者としてバスケを見に来てほしかったわけじゃないんだ。ちょっとでも、かっこいいとこを見せたくてさ。学年がちがうと、なかなかアピールするチャンスもないし」
「あの、ちょっと待って。まだよく分かってないんけど、レイは本当に私のことが好きなの?」
「うん、好きだよ」
レイは即答。
「それはその、恋愛的なアレの?」
「恋愛的なアレの、『好き』だけど。ずっと前から。えっ、気づいてなかったの? 俺、アヤちゃんに何回も好きって言ってたんだけど」
「いやいやいや! 保育園児から言われても、子ども同士のそういうのだと思うでしょ!」
「アヤちゃんが小学校を卒業する時にも言ったけど?」
「それは、いつも遊んでた私が中学校に行っちゃうから、寂しくて出た言葉だろうなと……」
「中学生の時にも言ったよ?俺は本気だったのに、流されちゃったけど」
「それは…っていうか紛らわしいんだよレイは!誰にでも人懐っこいから、みんなに言ってるんだと思うじゃん!」
「さすがにもう、本当に好きな人にしか言わないでしょ。って待って、自分で言ってて恥ずかしくなってきた……」
真っ赤になった顔を左手で隠しながら、それでも、同じく顔を赤くした私の目をしっかりと見つめながら、レイが言葉をつづけた。



