季節はいつのまにか、




「……っていうか、あの時見たのはヒツジの赤ちゃんだけどね。」

「え、そうだったっけ? さすがにそこまで覚えてないよ……」

「なになに、動物のことは覚えてないのに、私のことは覚えてるの?そんなに私のこと好きなの?」

「うん、好きだから、覚えてたよ。」


 胸の高鳴りを悟られないように、とっさに出た軽口だったのに。

 まさかの返答に、一瞬固まってしまった。いやいや、これはアレだから。レイの「だいすき攻撃」だから。

 そういうのじゃないから。落ちつこう、私。


「あのさ、もう小学生じゃないんだから。そういうのは本当に好きになった人に言いなよ」

「でも、俺はずっとアヤちゃんが好きだよ」

「だからさ、そういうのじゃ……」

「俺のアヤちゃんへの『好き』は、そういう『好き』だよ。ずっと前から」