季節はいつのまにか、



 なんだか、気をつかわれてしまった気がする。まぁ、高校1年生にもなると女の子にお金を出させちゃダメとか、そういうのを気にするようになるのかな?

 ちょっと癪だけど、ここは、お言葉にあまえておこう。


「あっ、アヤちゃん。ライオンいたよライオン!」

「……ライオンってさ、いつも寝てるよね」

「暑い時間には日かげで昼寝して、疲れないようにしてるらしいよ。ほら、看板に書いてある」


 レイは看板を指さして教えてくれた。


「本当だ! でもさ、普通は疲れたから寝るんじゃないの? 疲れないために寝るとか、なんかダメ人間みたい」

「確かに」


そういいながら笑う横顔には、まだ少しだけ、あの頃の面影が残っていた。この顔を見ると、なんだかほっとする。