「アヤちゃん、動物園くるのいつぶり?」
突然そう聞かれて、頭の中で思い出を振り返る。
動物園なんて、高校生になってからはもちろん、中学生の時も来ていない。入園ゲートにつづく緩やかな上り坂では、子どもたちの楽し気な足音が、いくつも通り過ぎていく。
「んー、5年か6年ぶりくらい? 小学校卒業するときに、クラスのみんなと来て以来かな。」
「あー、そういうのあったね。卒業記念的な。俺はクラスでボーリングに行ったよ。」
懐かしいなぁ……。
「え、レイってボーリングできるの?」
「できるのって何だよ!普通にできるよ!」
「ごめんごめん、昔から運動できないイメージだったからさ。一緒に遊ぶと、いつも私に敵わなくて泣いてたし。」
そう、私の中でレイは、いつまでたっても泣き虫の子どものままだ。