さようなら、同い年のあなた

親戚だなんて、どう考えても無理がある。


彼は自分の外見が年老いたことを気にしていた。


ばかね、わたしも同じでしょと言うと、鏡を渡された。痩せこけてはいるものの、おおよそあの日のままらしかった。


「じゃあ今日から見た目は五歳差? 同い年も歳の差も味わえるなんて、随分お得」

「えっ、五歳差でいてくれるの」

「えっ、いちゃだめなの?」

「だめじゃないだめじゃない!」


それはよかった。なんだって、五歳差になったくらいで好きなひとを諦めなくちゃいけないんだ。


「五年もあればいろいろ美味しいお店見つけたでしょう。今度連れて行ってね」

「うん」

「おすすめの曲もお話も増えたでしょ。今度貸して」


うん、と彼は泣き笑いをした。


ばか。泣きたいのはこっちの方。そんな、こんな、……なんで待ってたの。わたしが起きなかったらどうするつもりだったの。


そんなの、と彼は言った。


「僕はきみがいいんだ。……きみが、まだ、僕でもいいのなら」