さようなら、同い年のあなた

「どんなひとなんですか?」

「うーんと、すらっとしてて、穏やかーな感じで」

「はい」

「あんまり黒は好きじゃないですね。鞄も服も茶色のものをたくさん持ってます」

「黒は暑苦しく見えるときがありますからねえ」

「ああ、あとラーメンが好きですね。仕事終わりにお酒を飲むのも好きです」

「太りそうな好みですねえ」

「それで太らないんだから羨ましいことです。お掃除も好きで、お風呂掃除と掃除機かけをうきうきやります」


一年で一番好きなのは秋。

花粉症は目がつらいひと。

収集癖に自覚があって、集めたくなるに決まっているからと、いろいろなものを揃えないように気をつけていた。

音楽はジャズが好きで、掃除のときにジャズを流しては、ノリノリでくるりくるりとブラシを振り回す。

記念日はホテルを取ってくれる。わたしが夜景が好きだから。なんでも美味しい美味しいと食べるけれど、本人的にはフレンチが食べやすいらしい。


会いたいなあ、と思った。


「わたし、いつ退院できるかって聞いてますか?」

「いえ、それは……」

「えー、教えてくださいよ」


起きあがろうとして、体にうまく力が入らなかった。


背中も首もおかしい。


おかしい。……これは、床ずれだ。