「あ、そうだこれ、お土産。結月にはこれで、紫月くんにはこっち。で、碧人くんはこれね。お菓子も持ってきたんで一色さんもよかったら食べてくださいね」
テキパキとお土産を配り、煌への気遣いも忘れない朱莉。
朱莉が魅力的なのは見た目だけではなく、こういった内面の部分も素敵だからだろう。
その後もまるで前から知り合いだったかのように会話を続ける煌と朱莉。
私が2人を仲介する必要なんてなかったな……。
そんな私の気持ちを見透かすかのように「寂しい?」と声をかけてくる碧人くん。
「そんなことないよ?煌と朱莉が仲良くなって嬉しい」
その気持ちは本当なのに胸の奥からは少しだけざわめきを感じる。
私は碧人くんの視線を避けるようにして、冷蔵庫へ飲み物を取りに行った。
テーブルに用意していたお菓子や朱莉からのお土産、碧人くんからの手土産に手を付けながら会話をすること数時間。
煌と朱莉はすっかり打ち解けていた。
「じゃあ、芸能人とも付き合ったことあんの?」
今は朱莉の歴代の彼氏の話で盛り上がっているところ。
「モデルとはね。でも束縛がきつすぎて1ヶ月で別れた」
「モデルってすげーな、朱莉ちゃん」
「そう?碧人くんの中学時代の方が色々と凄かったって聞いてるけど」
「その辺に関してはノーコメントで」
モテる人達の会話は次元が違うな。
そんな呑気なことを思っていると、隣には私と同じで話についていけてないお兄ちゃんがいた。
兄妹揃ってモテないとは……。



