私を赤く染めるのは



Bijouの6枚目のシングル『振り向く君に』のプロモーション活動が活発に行われる中、煌とお兄ちゃんは慌ただしい毎日を過ごしていた。

私は昼のうちに課題や家事を済ませて、夜になるとテレビの前にスタンバイする。

Bijouが出演する番組は全て録画しているけれど、生放送の番組はリアルタイムで追いたいからだ。


そんな毎日を繰り返していると朱莉と約束していた28日がやってきた。

煌と一緒に過ごすのは、今日と31日の夜だけ。

別れの日は確実に近づいているのに、テレビでBijouをよく見るせいかあまり実感がわかない。


「ゆづー、コップってこれでいいか?」

「あ、うん」

朱莉たちを迎える準備に励むお兄ちゃんは食器棚からコップを5つ取り出す。


あの後、どうせなら碧人くんも呼ぼう。そうお兄ちゃんが提案してきたのだ。

同じ高校の朱莉はもちろん碧人くんと面識があるが、2人が知り合ったのは碧人くんが頻繁にうちに遊びに来ていた頃。

つまり、朱莉にとっても碧人くんは昔なじみで兄のようなものにあたる。