私を赤く染めるのは




「じゃあ、夏休みだからってハメ外すなよー」


私が再びスマホを手にしたのは、宮ちゃんから解散の合図があったあと。


周りの人がぞろぞろと教室を出ていく中、スマホのロックを解除する。

すると通知はさっきより300件も増えていた。


…………恐る恐る通知が鳴り止まないアプリを開く。



そして、通知欄をタップした時信じられないものが目に飛び込んできた。


「……ん?……っえ、う、嘘」


な、何かの見間違い?


上手く息が吸えなくなるような、それほどまでの衝撃を抱えて何とか朱莉の元へと歩みを進める。




「あ、朱莉!これ見て」

同じくスマホの画面に集中していた朱莉に私は自分のスマホを差し出した。



「ちょっ近いって」


……それはもう朱莉の顔ギリギリの距離で。

そっとスマホを押し返されグッと息を飲む私と画面を見つめる朱莉。


「ありがとう……?」

画面に表示されていた言葉を朱莉はゆっくりと読み上げる。


その次の言葉も。

「ゆづちゃんもいい日になりますように……って何これ?」

まだ状況を把握していない朱莉は不思議そうに首を傾げる。

私だってさっきまでは朱莉と同じで一瞬何が起きたのかわからなかった。

今、朱莉が読み上げたコメントはある人物から私に送られてきたもの……。



「わ、私が今日ハチに送ったコメントに返事がきてるの!!」


そう、私がここまで興奮する理由はただ一つ。

コメントの主があのBijouのハチだったからだ。