碧人くんとお兄ちゃんは中学生の頃からの友達。
私が一人のときに万が一何かあったら……とお兄ちゃんが唯一合鍵を託した相手だ。
だから、下のセキュリティは持っているカードキーで解除できる。
ドアも同じ。開けようと思えば開けられる。
でも、碧人くんは常識人だから勝手に入ってくるようなマネはしない。
ピンポーン、
あ、早くドアを開けないと。
再びインターホンが鳴り、玄関へと小走りで向かう。
インターホンを鳴らした相手は碧人くんだと信じ切っていた私は、ろくに確認もせずドアを開いた。
ガチャ、
「あ、いらっしゃい。……って煌!?」
勢いよくドアを開けた先に立っていたのは、碧人くんではなく煌。
隣にお兄ちゃんの姿もない。
「収録は?それにお兄ちゃんはどうしたの?」
「MCの人がすげー巻く人で予定よりも早く終わった。紫月さんはスーパー寄るって。明日オフだから酒飲むって張り切ってんの。てか、いらっしゃいって何?」
「あ、そうだ」
呑気に会話をしている場合じゃなかった。
そろそろ碧人くんがうちに来るはず。
多分、碧人くんは煌がうちにいることを知らない。
どうにかして煌の存在を隠さなきゃ……!
「煌、早く家の中に入って。それから隠れて!」
「は?なんでだよ」
眉間に皺を寄せた煌の手を力任せに引き、背中を押す。



