私を赤く染めるのは



だめだ……集中できない。


あとで自分の部屋でゆっくり読もう。そう思って最終ページまでパラパラと会報をめくる。

そして、最終ページにたどり着いとき自分でも驚くほどの大きな声が出た。

「こ、煌これ本当!?」

最終ページに赤の大文字で書かれていたのは、“Bijou初ファンミーティング&握手会開催決定!”の文字。


「あぁ、本当」


「今までコンサートはしたことあったけど、ファンミーティングは初めてだよね?わーどこで開催されるんだろう。それに握手会ってことはBijouと触れ合えるってこと!?どっちも絶対倍率高そう〜!」


「……お前って本当に俺らのファンだったんだな」

「え、疑ってたの?」

「いや、そうじゃなくて。結月の口から出るのはいつもハチのことばっかりだったから」


……確かに興奮した姿を見せたり、煌の前でBijouの話を熱く語るのは初めてかもしれない。

Bijouのイベントに喜ぶ姿を本人に見せていたかと思うと少し恥ずかしい。

私は熱くなった身体を手でパタパタと扇いだ。

「……ハチは特別。だけど前にも言ったように箱推しだから」

「じゃあ俺のことも好きってこと?」

煌から出た“好き”と言う言葉に肩がビクンっと跳ねる。

す、好きってBijouとしてだよね……?


「まぁ、煌も一応Bijouだし?好きの範囲には入ってるかな一応ね、一応」

「何回、一応って言うんだよ。つーか腹減った。会報は置いといて先に飯食おーぜ」


「あ、うん。すぐに準備する」


煌が口にした“好き”と言う言葉は、なぜだか私の胸の奥をざわつかせた。