私を赤く染めるのは


翌日、煌とお兄ちゃんは私が起きる前に家を出たようで机にはまた付箋が貼り付けられていた。


『ごめん!ゆづ伝えるの忘れてた。明日から地方で1週間ロケ!また昼頃に電話するから 紫月』



「だからこういうことは先に言ってよ。……って、まだ何か書いてある」

お兄ちゃんの字の隣には小さく『生姜焼き美味かった』とピースサインの絵文字。

見慣れたサインは煌のもの。


冷蔵庫を開けると昨日、作った生姜焼きがなくなっていた。

丁寧に洗い物まで済ませてある。

「朝は食べる暇ないって言ってたのに」

煌のために用意していたのを気づいてくれたのだろうか。

普段は人をからかって笑ってるくせに、時々優しくするからずるい。


私は剥がした付箋をBijouのグッズを入れてあるボックス中へとしまった。




この日、お兄ちゃんは仕事の合間に一度帰宅。煌は仕事後、直接ロケ地へと向かった。

そして、煌とお兄ちゃんのいない1週間がスタートした。