「よし、ここまでで大丈夫。思ったよりも大根じゃなかったな」
「お褒めの言葉どうもありがとうございます」
「褒めてねーけど」
……さっきまで不安そうにしてたのに、もういつもの煌に逆戻りだ。
「だけどさ、直人も沙友理のことが好きなのにどうして身を引くんだろう?」
原作を読んだあとに感じた率直な意見を煌にぶつける。
まぁ、そのストーリーがあったからこそ6年後、直人は杏奈と恋に落ちるんだけど。
私的には沙友理との恋も見てみたかったなーなんて思う訳で。煌はどう思うのかな?
「好きだからこそ身を引くんだろう」
「直人じゃ沙友理を幸せにはできないの?」
「さぁ?俺、原作者じゃないし。でも、その頃の直人じゃ無理だったって話なんじゃねぇの。結局、沙友理は章と上手くいくんだしハッピーエンドじゃん」
「そうなのかなぁ」
「まぁ、お子ちゃまにはまだ早ぇな」
「たった2歳しか変わらないでしょう」
「あ、俺もう支度するわ」
煌の言葉につられて時計を見ると時刻は既に9時40分。
10分の予定が25分もオーバーしている。
お兄ちゃんが迎えに来るまであと20分しかない……!



