「このシーン重要なんだ。ちょっと不安だから完璧にしておきたいんだよ。大丈夫、結月に上手さは求めてないから」
あぁ、もう本当……一言多いな。
けれど、煌が演技の仕事を大事にしているのは知ってるし、頼られるのは案外悪い気はしない。
「本当に下手くそだからね」
「ありがと」
煌が柄にもなくお礼なんて言うもんだから、一瞬だけ胸がギュッと熱くなるのを感じた。
これは煌に反応したんじゃなくて裏での真剣な顔、つまりギャップにドキッとしただけ。
……ただそれだけ。
渡された台本には『キミとカラフルな恋をしよう』と書かれている。
略してキミカラは少女漫画が原作で失恋して傷ついたアイドルの直人と一般JKの杏奈が出会い恋に落ちる話だ。
夢のようなシチュエーションが盛りだくさんで学生だけではなく、大人からも支持を集める大人気作。
5巻完結で累計800万部という異例の売れ方をしているキミカラは、煌が主演を務めると発表されてら今もなお売上を伸ばし続けている。
「これって煌が主演を務める映画だよね」
「ああ、もう情報出てたんだっけ?俺のことにも興味あったんだ」



