私を赤く染めるのは



煌に頼まれたチョコレートは種類を聞き忘れたものの、そこはBijouのオタク力を発揮。


雑誌のインタビューで“甘いものは苦手なんですけど、ブラックチョコレートは好きなんですよ”と言っていたのを思い出しブラック一択。


これだけあれば十分かな?

早々にお会計を済ませた私はスーパーを後にした。

自分の分はあとで激安スーパーで……!





ピッー。

エコバッグいっぱいの食材を抱え鍵を解除するが煌は姿を見せない。

「迎えにきてくれてもいいじゃない」


ハチならきっと笑顔で「おかえり」と行ってくれるはず。そんな妄想を膨らませながら廊下を歩く。

早くこの重い荷物を置きたい。そう思っていたのにリビングから聴こえた煌の声で私はその歩みを止めた。



沙友理(さゆり)(あきら)のことが好きなんだろ?……俺はお前がそう言うから今まで応援してきたんだ」

「なのに急に俺のことが好きだなんて……そんな今さら」

リビングからは台詞のようなものをつぶやく声が微かに聴こえる。

足音を立てないようにそっと中を覗くと、真剣な表情をした煌が台本片手に立っていた。

集中しているのか私が帰ってきたことにすら気づかない。

その真剣な表情は普段見るアイドルの姿、うちにいるワガママな煌どちらにも当てはまらなかった。