「ん?あー。お前に一つだけ忠告しておこうと思って」


忠告……?


ああ、こういうシチュエーションってよく漫画やドラマであるっけ。

突然同居することになった日、ヒーローはヒロイン(まぁ、私はヒロインなんかじゃないけど)に必ずこう言うの。

「どうせ俺のこと好きになるなよとか言うんでしょ?安心して下さい私ハチ担なんで」

同居するのがハチならまだしも、私はこの目の前にいる横暴アイドルを絶対好きにはならない!!

(こ、これ、フラグとかじゃないから!!)

私がそう言うと、煌は片方の口角だけを上げてバカにしたように笑う。

「あのさ、推しと恋愛は別物だろ?」


何言ってるの?推し=好きに決まってるでしょ。

だって、好きだから推してるんだし。



「……さてはお前、まだ恋愛したことないだろ」

今度は呆れた様子で笑いながら団扇をパタパタと揺らす煌。

「べ、別に関係ないでしょう」


……ていうか、その団扇仰ぐ用じゃないんですけど!!


私はベットから立ち上がり煌が持っていた団扇を取り返す。

……煌が言ったとおり恋愛経験がない私はそれ以上何も言い返すことができず精一杯の反抗をしてみせた。


すると煌はなぜか椅子から立ち上がり、私達は自然と見つめ合う形に。


「まぁ、いい心がけだわ。アイドルの俺がお前みたいな普通の女に手出すなんてことはないけど、お前は変な気起こすかもしんねぇからな」


「な、あるわけないでしょ!ってかさっきからお前お前って」