お兄ちゃんへの報告も無事に終えて、私達は部屋へと移動した。


「ごめんな。普通のデートとか簡単には出来ない関係で」

「そんなの始めからわかってるし、大丈夫。私はそれでも煌がいいし、会えるだけで嬉しいの」

「そ?俺は会うだけじゃ足りないけど」

そう言うと隣に座っていた煌は私の腰に手を回す。

「あの、煌……」

「何?今は紫月さんいないけど」

「そ、そうなんだけど。そのまだ照れるっていうか……」


「ふーん。でも、これから年末に向けて忙しくなるから独占するなら今がオススメだけど?」

煌はそう言うと腰に回していた手をそっと離し、大きく両手を広げる。

「そういう言い方はずるいっ……!」

私はその広い胸の中に飛び込み、煌の背中へと腕を回した。

その後、煌が持っていたタブレットでハチが出演していたバラエティを観る。

ただ、煌に後ろから抱きしめられていた私はコント番組だというのに一切笑えなかった。